宥貴のお寺日記

津島の奥の院・宝寿院の日常を、新米尼僧が細々と綴っております。 

塵を払い、垢を除かん

いよいよ師走になりました💨

この辺りは比較的穏やかな気候が続いていますが、皆さんいかがおすごしでしょうか^_^??

 

 

さて、師走といえば、、

 

12月8日は「成道会(じょうどうえ)」お釈迦様がブッダガヤー菩提樹の木の下でお悟りを開かれた日です🙏🏻

 

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仏教のお誕生日というとても大切な日ですので、宝寿院では「降魔成道(ごうまじょうどう)の像」の御奉前でご参拝の皆さんと共にささやかなご法楽を捧げ、菊やサザンカなど境内に咲く季節のお花を散華してお祝いします🌸

 

成道会 12月8日(土)11時頃〜

 

10時〜の護摩祈祷にご参加の方にはスジャータの供養の逸話にちなみ、乳粥のご接待も致します。優しい甘さでホッとしますよ🍵

 

お昼を挟んで13時からは成道会の絵御朱印(書置き)の授与も致します。(〜12月21日まで授与)

 

どうぞお誘い合わせてお参りくださいね!

 

 

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12月の寺報『ぼだい樹』には成道会ということで、お釈迦様の弟子・周利槃特(しゅりはんどく)のお話をご紹介しています。

 

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お釈迦様の弟子に周利槃特(しゅりはんどく)という男がおりました。

彼はいわゆる「おバカさん」

自分の名前もたまに忘れてしまうので、名前を書いた旗を背負って歩いていた・・・というありさま。もちろんお釈迦様のお説法を聞いても理解出来ません。

ですが悟りを求める心は誰よりも強く、お釈迦様のお話をそばでぼんやり聞いているだけで彼は幸せだったのです。

 

しかしそんな周利槃特を、共に修行する仲間たちは呆れ次第に馬鹿にするようになります。

 

「僕は何年も何年も修行しているが、お釈迦様から教えて頂いた言葉や修行の方法も何も覚えることができない。きっと悟りを得ることなんて夢のまた夢・・・。」

自分の能力の無さに絶望した周利槃特はお釈迦様の元を去ろうとします。

 

そんな周利槃特にお釈迦様は

「自らを愚かだと知る者は愚かではない。自分が賢いと思い込んでいる者こそ愚かなのだよ。」

と言いました。周利槃特はやはり意味がわからずポカンとしておりましたが、お釈迦様の温かな心が伝わりまた修行を続けようと決心します。

 

「そういえばね、お前はいつもとても綺麗に掃除をしてくれる。掃除は好きかい?」

「はい、大好きです。」

「そうか。」と言いお釈迦様は一本のほうきを差し出します。

「塵を払い、垢を除かん」こう唱えながら毎日精舎や庭をを掃除するように教えられた周利槃特。短いこの言葉を何度も何度も間違えながらも懸命に唱えます。

来る日も来る日もひたむきに掃除を続ける周利槃特を見て仲間たちは次第に一目置くようになります。

そして、周利槃特の心にも変化が現れます。

 

汚かった庭もこうして綺麗になっていく。でもまた明日には葉っぱが落ちてきて汚くなっていく。物事はいつも同じ状態ではなく常に変化しているんだなぁ。

 

僕の心にもこの床のように迷いや怒り強欲というチリやアカが積もっているが、その下には綺麗な心が隠れているんだなぁ。こんなふうに心についた汚れも丁寧に掃除して綺麗にしていきたいなぁ。

 

周利槃特はお釈迦様の言葉ではピンとこなかった大切な教えを掃除をすることで実感し、ついに悟りを開くに至りました。

 

 

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私はこの周利槃特のお話がとても好きです。

覚えが悪いし要領も悪い。ダメだなぁ、情けないという気持ちには共感してしまいます。

私と違うところは、周利槃特はお釈迦様に言われたことを疑いなく素直に取り組んだというところでしょうか。私なら二日目の三時のおやつを食べ終わったあたりで何か理由をつけてやめちゃうかも😅

 

 

また、「悟り」という山頂に至る登山道は無数にあるんだということをこの逸話は教えてくれている気がします。きっと自分が登りきれる道があるんだという希望を持って、様々なことを恐れず、面倒くさがらず取り組んでいけたらと思います🙏🏻

 

 

 

師走に入り気持ちも焦りがちになりますが、周利槃特のようにこつこつ着実に物事に向き合っていきたいものですね。

 

年末の大掃除は周梨槃特に習い「塵を払い、垢を除かん」と唱えながら、お互い頑張りましょう!

 

 

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