去る1月10日午後、私の師僧であり祖母である宝寿院先代住職・蟹江宥宏が亡くなりました。
先日執り行われた通夜・葬儀には寒い中本当に沢山の方々に駆けつけて頂き、温かく見守られながら送り出して頂きました。
近隣寺院の方々をはじめ多くの人に朝から晩まで準備等お助け頂き、御詠歌のしらべと共に師僧・宥宏に相応しい見送りをする事ができました🙏🏻
お忙しい中お運び下さいました皆様、本当にありがとうございました。
生前に師僧が賜りました数々のご厚誼に対しましても、師に代わりまして心からお礼申し上げます。
弟子である私はまだまだ未熟でありますが、師僧・宥宏はじめ、先師様達に恥じぬよう精進して参ります。
今後とも変わらず宝寿院に親しんで頂けたら嬉しく思います!
◆祖母の最期の様子
祖母は数年前から進行性の病を患い、体の運動機能が徐々に衰えておりました。
昨年末までは母が少しでもお寺で過ごさせてあげたいと懸命に在宅介護していましたが、誤嚥なども増え、ここ一年程は施設で過ごしていました。
頭はしっかりしていたので、不自由な体での苦しみも多かったと思いますが、私達家族の前でさえ泣き言は一切言わず、その前向きな姿勢には驚かされっぱなしでした。
今度の東京オリンピックに行く気満々で、チケットが取れてない事を怒られたりもしました…^_^;💦笑
年末頃から容体が思わしくなく、1月8日の初薬師祈祷が滞りなく執り行われた事を見届けるように1月10日午後3時、次女である私の母に看取られ自然に安らかに、仏様の元に還って行きました。
昭和15年1月21日生まれ。あとちょっとで80歳の大台に乗る所でした!
「この体を早く脱ぎたいなぁ〜」
生前、冗談のように笑いながらこんな事を言った事がありました。
私はその時一瞬驚きましたが、妙に納得した事をとても印象的に覚えています。祖母の豪胆な魂と不自由となったこの体はなんだかとてもチグハグでした。そして脱ぎ去ることを少しも恐れてはいない様子に、祖母の信仰の底力を見たような一種の凄みを感じました。
きっと私達がオリンピックのチケットを取れなくても、開会→閉会まで全試合観戦することでしょう^^
◆師の功績
祖母は、僧侶となって間も無く若くして亡くなった弟・宥雅の意思を継ぎ、実母である先代・宥良と共に、一時荒廃して草野原と化した宝寿院の再興に奮闘して参りました。
50年程前の本堂と若かりし日の師。
多くの人を信仰の道へ誘い、この頃からお付き合いのある信者さんも皆さん高齢となりましたが沢山おいでで、宝寿院を支えて下さっています。
また密厳流御詠歌の師範として全国を飛び回り、御詠歌の指導、布教など精力的に活動しました。宝寿院の御詠歌講も全盛期20〜30人程いました。
先見の明があり、お寺では珍しく15年以上前からホームページやブログを設立し情報発信していました。
特筆すべきは、約20年前に尼僧の地位向上を目指し「智山尼僧の会」を設立し、初代会長を務めた事です。今、私も含め智山派の尼僧達が尊重されのびのびと活躍できる礎を作ってくれたのも師僧の大きな功績の一つです。
そんなかたわら2人の娘を育て、母として、僧侶として激動の昭和・平成を駆け抜けていきました。
持ち前の豪快な人柄とキッパリした物言いで、今もなお、師を頼ってお寺に訪れる参拝者が後を絶ちません。
宝寿院はこれから当分の間「宥宏ロス」が続くでしょうね。。
こちらはもっと若かりし日の師。評判のベッピンさんだったそうですよ⁈孫の代になり、かなり遺伝子は薄まってしまいました...
◆私とひろみちゃん
私は祖母にとって初孫だったので、特に可愛がってもらいました。
祖母は昔「おばあちゃん」と呼ばれる事を嫌い、本名の「ひろみちゃん」と私に呼ばせていました笑
母が働いていたので、夏休みなどは妹としょっちゅうひろみちゃんのとこで過ごしていました♨️
初めてディズニーランドに連れてってくれたのも祖母でした。沖縄から北海道まで色んな所を一緒に旅しましたし、大学の帰りに待ち合わせて名古屋ドームに野球もよく見に行きました。
同じ部屋で寝ていると祖母が夜中に爆音でファミコンをやり出すので、音小さくして!とよく文句を言ったものです。人と飲みに行くのが大好きなお婆ちゃんをよく車で店まで迎えに行ったなぁ・・・(^^;)
我ながら結構お婆ちゃんっ子だったし、祖母は祖母で自由人だったことを改めて思い出します。
宝寿院を継いで欲しいなんて一度たりとも言われたことはないのですが、楽しそうにお坊さんをしている祖母と過ごしているうちに、いつの間にやら洗脳(⁉️)されていたのかもしれませんね( ;∀;)
勿論大変な事もありますが、私にとってお寺での日々は本当に楽しいものですし、こうして私を仏の道に招いてくれたのはやはり間違いなく祖母なのです。
よく食べ、よく飲み、良く笑い、
時には厳しく、時には優しく。
よく学び、良く教え、
本尊お薬師様と共に力強く歩んだあっぱれな生涯でした。
私が祖母である故・蟹江宥宏について思い出す時いつも頭に浮かぶ幼い頃の風景があります。
大師堂の脇に咲くキンモクセイの香り。
小さな大師堂で祖母が講員のおばあさん達と練習する御詠歌の何とも言えない優しい歌声と、鈴鉦の金属音。
「ひろみちゃーん!来たよ!」とお堂に駆け寄っていくと、目の横にシワが沢山入るカラッとした笑顔が出迎えてくれる。
そんな温かな秋の日が、今も鮮やかに思い出されます。
今日もお読み頂きありがとうございました。
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